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アーティストとはどうあるべきか?

「今の自分以上の作品を作ること」が、現代アートの世界では望まれます。つまりアーティストそのものが生き物であって、常に新しい領域へと侵食していかなくてはいけない。そういう「うごめき」そのものであるべきなんです。

ですのでね、現状に満足している人はだめですね。これが自分の姿です!どうぞ見てください、なんてのもダメですよ。今の自分に満足しちゃだめなんですから、今の自分を見てくださいなんて事は決してあってはいけない。次の自分を見てくださいにならないと。

そのためには、自分が思い通りのものを作るなんてのは良くないです。自分が思ってもみなかったものが、常に新しいものとしてアトリエに出現しないといけない。だからアトリエをサボるなんてのはもってのほかなんです。アトリエが生き物なんですから。

だからとにかくアトリエには足を運ぶ、いない時でも町中がアトリエだと思って全力でそこに立ち向かうような生活にしていかないといけないんです。

となると、生活、いや、生涯をそこに捧げる気でいかないと本当に凄みのあるものはできないと思います。

それから作品としてのクオリティーが足りないと思っている人は、私が見る限り、えてして用具用材に問題があると思っています。

自分がこだわっている用具用材が自分の作品のスタイルと合ってなければ、すぐに変える必要があるんです。それこそ自分の発想力とか、あるいはその性質はそれこそ常にうごめいているものでしょうから、それに対してフィットしていくような方法論があるんじゃないかって常に疑うべきなんですよ。

井上有一が晩年、コンテ書を発明したのも、自身の体力の問題や、そして言葉をつらつらと吐き出していくようなスタイルと、硬筆での書が合致したからではないかと思うんですよ。単純にいろんな方法論で書いて、バラエティー豊かにということではありません。それは底の浅いものになるはずです。作品制作とは、その場の思いつきで行われるものではないはずなんですよ。(海上さんは、それをチンドン屋だと言ってました)

なんというか、止むに止まれぬ欲求があったときにだけ、作品は作られるべきだからです。そうした全体重が目の前の紙面に乗っかっていくこと、場合によっては書けないこともあるでしょうし、失敗を繰り返すこともあるでしょう。

けれどもそうした、ある種のトラブルを全て乗り越えた上で作られるものは、何かしらの説得力を持って眼前に迫ってくるはずなんです。

逆に、お手軽にいつも通り作られたものに、人は感動するでしょうか?アーティストがアトリエで四苦八苦している姿を想像できるような、そんな人間臭いと言ったらおかしいかもしれませんが、その人そのものがさらけ出されているような作品に、人は胸を打たれるのではないかなと思っています。

もちろんそれが、洒脱であったり、ユーモア溢れるものであってもおかしくないわけです。ただそれが、その人そのものを表していたり、その人の意図が十全に表されているもの、そしてその人の限界を超えたものでなくてはならないということなんです。

つまり最終的に、売れる作品、魅力のある作品というのは、どこまでいっても、その人自身を感じるようなその人の分身であるべきだと思います。そしてそれが生き物のように、のたうちまわっている、そうした姿であるべきなのです。

他の誰かにあってはいけない、だからこそそこにオリジナリティーが必要だという話にもなってくるわけです。最初からオリジナリティーを求めて、突飛もないことをして人を驚かせようなんてことではないんですね。それでは、順番が逆なんです。

こないだ、吉原治良の展覧会に行ってきました。遺族がずっと所有していたという、その作品群は、小さいながらも凄みに溢れていました。まさにその人自身が感じられていた、そういう意味での傑作だったと思います。2,000,000円とか4,000,000円とか、貯金を全部注ぎ込めば買えるかな?なんて想像もしました。

傑作とはつまり、コレクターに、喉から手が出るほど欲しいと思わせる何かがあること、そこの状態まで行かないといけないと思います。

その「何か」が、一番大事で、そこに世の中のコレクターは、魅力を感じるわけなのですから。

そして、その目はとてもシビアで、そのアーティストが常に限界点を突破してると判断できなければ、ソッポを向かれるでしょう。

ちょっと気が抜けた作品があったら、どんなスーパースターだってボロクソに言うのが彼らの習性なのです。僕の作品なんて、佐藤さんはいつもボロクソですから。5回見せて1回褒められたら良い方です。

だからこそチャレンジングなんですよ。もう締め切りが終わってしまいましたけど、今回のAST、まさにそのチャレンジだったと思います。ここでダメ出しをされてもいいじゃないですか。次のステップとなるヒントが、各アーティストにもたらされることを、僕は一番願っています。(談)

アーティストとはどうあるべきか?

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